先進的だと思われていた日本の医療が、実は欧米に比べてかなり遅れています。中でも「病気に対する予防意識」に関しては特に顕著です。
本来、誰しも病気になんてなりたくないはず。
病気になれば医療費などの経済的負担、そしてそれ以上に精神的な負担が大きくなるのは、一度でも何らかの病気にかかった経験のある方であれば、ご理解いただけると思います。
そこで「予防」が重要になってくるのですが、これがなかなか一般の方に普及していかないのです。
その原因として「何のための予防なのか?」という目的が、ぼんやりしていることが挙げられます。
「予防といわれても、何を目的に予防していけばいいの?」
「予防が大事なのはわかるけど、具体的に何をどうしたらいいのかわからない」
皆さんの中にも、このように思っている方も多いのでは?
日本では、まだ予防意識は低いですが、中にはしっかりした予防意識を持って、予防に真剣に取り組んでいる方もいます。
その代表例が「再発予防意識の強い方」。
過去、糖尿病やがんなど、大きな病気を経験している方が一番恐れているのが、病気の再発です。
私のところにも、再発予防を目的に通院されている方が大勢います。
例えば、私のクリニックで治療し、ある程度症状が治まると、「もう大丈夫だろう」と思い込んで通院しなくなる方がいます。
でも、その多くの場合、決して「完治」したわけではないのです。
ですから、半年もすると、また症状が悪化して通院を再開することに……。
「今度こそ病気をしっかり治す! そして、もう二度と病気になんてなりたくない!」こう強く思うのは、実はこのような“痛い目”にあった方なのです。
自分から進んで治療や予防に取り組もうとします。例え私が海外に出張していたとしても、それを追っかけて来るぐらいの気迫です。
「予防の意識を持ってください」と私が何度言っても、すぐにはもっていただけないかもしれません。
しかし、ご自身や周りの方に病気で苦しい思いをされた経験があれば、まずはそのときのことを思い出してください。
そして、少しずつ予防に対する意識を高めてもらえたら、というのが私の願いです。 高島正広